仕事に心を込めよう。
共感こそイノベーションの原動力である。
(「DIAMONDハーバードビジネスレビュー/HBRブログ」 ゲイリー・ハメル)
患者満足度において、下位グループに属していた、ある医療機関がアメリカのミシガン州にあったという。
この医療機関のCEOは、どうすれば患者のために、この病院の医療体験を改善できるだろうかと考えた。
スタッフの増員や、快適性を高める設備投資をするような多額の資金はなかった。
数週間にわたりこのCEOは考えた結果、ひとつの結論に至る。
スタッフが、仕事に職業的スキルだけでなく、「心」を持ち込んだら、どうなるだろうか?と。
「仕事に心を込めよう(Bring Your Heart To Work)」が合言葉になった。
患者さんの病気に対していかに良いケアを提供しているかだけでなく、患者さんそのものをいかに大切に思っているかを、しっかりと理解してもらうこと。
もっと愛情を込めることを学ぶという姿勢を医療スタッフたちはもつことになった。
医療スタッフには、台本や研修プログラムを提供するかわりに、ある課題を出した。
その課題とは、「患者と接する時には毎回、あなたが“誰”で、“何”をするためにそこにいるのかを伝え、心のこもった“なぜ”を分かち合うこと。
たとえば、「トムです。あなたの包帯を交換するためにここにいます。
なぜなら、お孫さんの結婚式に間に合うように、家に戻るお手伝いをしたいからです」というように。
心のこもった「なぜ」を表明することにポイントをおいたのだ。
数ヵ月後、すべてのスタッフたちは、常に患者に心を開かなければ成功は見込めないことを理解した。たった1人でも態度の悪いスタッフがいれば、その他のスタッフの苦労も台無しになることを。
また、同時に、病院スタッフがより多くの愛情を示せば、患者サイドは寛大さを示すようになるということもわかった。
結果的に、この医療機関の患者満足度は飛躍的に向上したという。
この病院のCEOはこう語る。
「満足度が改善しただけでなく、臨床面の効果もあった。我々の仕事は、命を救い、健康を増進させ、希望を取り戻すことだ。
患者の心の琴線に触れれば、そこには癒しの関係ができる。この関係性によって、患者はリラックスして、血圧が下がる。幸福感につながる神経伝達物質が活性化されるし、痛みも抑えられる。患者とケア提供者の両方にとって、良い結果になるんだ。」
ゲイリーハメルいわく、
「典型的なCEOのスピーチ、あるいは従業員重視を謳うウェブサイトでは、次のような言葉が頻繁に登場する・・・執行、ソリューション、アドバンテージ、焦点、差別化、優位性。これらの言葉に落ち度があるわけではないが、人間の心の琴線に響く言葉ではない。
なぜ問題なのかといえば、人がイノベーションを起こすには、まず当人が何かに心を動かされる必要があるからだ。次に職場の同僚が、そして最終的には顧客が、やはり心を動かされる必要がある。」
資料: 「DIAMONDハーバードビジネスレビュー/HBRブログ」
共感こそイノベーションの原動力である
2015年11月6日
ゲイリー・ハメル ロンドン・ビジネススクール客員教授(戦略論、国際マネジメント)
「仕事に心を込めよう。」は、僕自身が、常に確認すべき言葉でもある。
また、このエピソードは、予算(お金)がなくても、やり方によって目的を達成できることを教えてくれた。
本 日も読んでいただきありがとうございます。
BLUE BOTTLE COFFEE
ETHIOPIA LIMU GERAを飲みながら。