町野公彦のマーケティング・ブリコラージュ

次の時代に手渡したいビジネス名言

私論(試論)。

 「君がやるべきことは、古い大地から新しい大地に飛び移ることだけ

なのだ。」

(「村上春樹 雑文集」 村上春樹

 

 

あくまで私論(試論)として、企業と顧客をめぐるマーケティング環境の時代変遷を便宜的に3つの時代に分けてみた。

かなり乱暴な区分であるものの、ある程度、本質的なポイントはおさえているのではないかと勝手に考えている。

 

1.機能価値の時代

2.記号価値の時代

3.体験価値の時代

 

「機能価値の時代」とは、1950年代から1970年代頃、需要が供給を上回っていた時代環境にあり、機能が実現されることにプライオリティがあった時代である。

洗濯機、クーラー、冷蔵庫、自動車といった耐久消費財が消費の主役になっていた。

 

次に、「記号価値の時代」である。

これは、バブル時期とシンクロするもので、「機能」自体が充足されてくると、顧客サイドは他者との差異を求めて、機能性から「記号性」へとその関心が移ってくる。

従って、家の中にあるモノよりも、他人に見せびらかせることが可能な自動車や、衣料品、宝飾品、外食サービス、レジャーといった分野に光があたってくる。

(学生時代、多くの人は、なぜか、報酬もないのに、胸に大きくロゴが入ったトレーナーと呼ばれるものを着用していたのだ。)

 

現在は、「体験価値の時代」である。

ネット環境の出現とその一般化によって、企業からの一方的な(中味のない)記号の提供は、すぐに見破られ、企業のコントロールが効きづらい。

こうしたことから、仮にその企業が「モノ」をつくるメーカーであっても、顧客に提供されるものは、モノではなく、「コト」=「サービス」、言い換えれば

「サービスデザイン」総体であるという考え方ができる。

これに基づいた「体験価値」こそが最も意味をもつ。

 

それでは、「体験価値」をどう高められるか?

そのために、顧客のインサイトと、行動文脈をどう捉えるかが問われている。

「共感心」をもち、顧客に寄り添える者だけが、次の価値のドアを開けられる。

 

 

クノールカップスープユーザーの考察

①圧倒的に朝食で使われている。

②朝食に「クノールカップスープ」を飲んでいる人の70%以上がパン食。

一方で、朝食がパン食の人で、スープを飲んでいる人は10%強しかいない。

③圧倒的にパンとの相性が良いのに、そのことが十分アピールできていない!

つまり、スープのユーザーはパンにつながっているが、パンのユーザーはスープにつながっていない。

つまり、片想いが続いている。

(「スープを売りたければ、パンを売れ」 山田まさる)

 

 

本 日も読んでいただきありがとうございます。

BLUE BOTTLE  COFFEE

ETHIOPIA LIMU GERAを飲みながら。