町野公彦のマーケティング・ブリコラージュ

次の時代に手渡したいビジネス名言

同質集団への帰属意識と、異質な人たちへの理解の間に。

訪れる人の側に立って想像力を巡らせること、

それに「伝統」を資源として「再発見」することである。

二つとも、わたしたちは苦手だ。

異質な人々への理解より同質の集団への帰属意識が優先されてきたからであり、また自らの伝統を外から眺める視点を持てなかったからだろう。

 

「資源としての伝統(村上龍の編集後記)」より 村上龍

 

 

インバウンド」という言葉を見たり聞いたりしない日はほぼない。

インバウンド」という言葉の意味を紐解くと、「入ってくるもの・内向きのもの」という意味があり、マーケティング用語の文脈では、ユーザー等からの問い合わせに対応することを指す。

 

現在、「インバウンド」といえば、そのほとんどが訪日旅行促進、及び爆買いに代表される海外の人たちによる消費極大化を意味している。

 

こうした状況において、ここ数週間、地方創生、日本の地域活性化をテーマとするイベントや、日本の伝統工芸品の展示に足を運んでみた。

 

その結果、あらためて感じたのは、同質な組織集団への帰属意識が極めて強い役所や法人が、本来、異質な人たちへの共感や理解が不可欠な施策を促進する、というある種の違和感だった。

 

勿論、役所や法人等に勤務され、こうした仕事に真摯に取り組んでいる方も多いだろう。

しかしながら、団体のロゴマークをつくることや、パンフレットの体裁を整えること自体が目的になっているのではないか、と思われる例もみられる。

 

傾向として言えば、同質集団(インナー)への帰属意識が強い集団は、異質なものへの理解がしにくいのだ。

 

もっとも、こうしたジレンマばかり嘆いていても何もはじまらない。

 

1.まずは相手の立場に立って、その気持ちに想像を巡らすこと。

(ここでの「相手」とは、インバウンドなら海外の人ということになる。)

 

2.自分たちのいいところを外部から見た視点も含めて再発見すること。

インバウンドなら、「自分たちのいいところ」とは、日本や各地域の歴史や文化等を指す。)

 

3.(1と2の)接点を考え、その回路を丁寧につなぐこと。

 

こんな基本的なことの大切さをあらためて感じる。

 

 

仕事とは客観的なことではありえない。

自分が必要と感じたもの、魅力と感じたものの延長に

自分の仕事があるのだ。

自分の欲望から外れたところで、「儲かるから」「安定しているから」

などという客観的な要因で仕事を選ぶと、仕事を頑張れば頑張るほど、

本来の自分と仕事をしている自分が分離していく。

社会とは自分の延長線上にあるのだ。

「希望の仕事術」 橘川幸夫

 

 

今日も読んでいただき、ありがとうございます。

 

FUGLEN COFFEE Bella Vista Mill,Hunapu,Guatemalaを飲みながら。