町野公彦のマーケティング・ブリコラージュ

次の時代に手渡したいビジネス名言

「強み」が「弱み」になるとき。

すなわち、「当面の事業が成功すればするほど、知の探索をおこたりがちになり、結果として中長期的なイノベーションが停滞する」というリスクが企業組織には本質的に内在しているのです。

これが、「コンピテンシー・トラップ」と呼ばれる命題です。

(「世界の経営学者はいま何を考えているのか」 入山章栄)

 

 

ビジネスやマーケティングでは、「強み」、「弱み」という言葉が多用される。

「強み」と「弱み」は、諸刃の剣であり、相対的なものである。

例えば、リアルな既存店舗を多く抱える企業がネット通販に積極的になれない、あるいは、アナログカメラでトップメーカーだった企業がデジタルカメラ市場参入に慎重ということもある。

 

人間でたとえれば、人並みはずれて気の強い女性がいたとする。

その女性は持ち前の気の強さで様々な難局を乗り切る。仮に体調があまり良くなくとも(女性は痛みに強かったりもするので)、我慢ができてしまう。

 

しかしながら、「気の強さは、身体性を越えられない」場合もある。

つまり、いくら気が強くとも、その器である体力や健康が伴わないと、短期的にはいいかもしれないが、中長期的には破綻してしまう。

 

ビジネスにおいても、精神力が過剰に強調される。勿論、そうした気持ちの持ちようは大切なものであるものの、しっかりとしたスキルや、それを支える体格・体力がなければ、真に良い仕事につながらない。

「心技体」ということだろう。

 

いままで気の強い人たちが倒れていくのを幾度もみてきた。

身近な死を通じて、限りある生を再認識するとき、いつもあるフレーズが頭に浮かぶ。

 

「あなたの性格、精神、人生は、あなたが選んだものによって決定される。あなたの人生には恐ろしいほど多くの可能性があり、自分では制御できないが、それでもその中から選ぶ自由はとてつもなく重要だ。


遺伝子と環境の制約の中でどう生きるかは自分次第だ。

あなたが仮に遺伝的・家系的に嘘をつく傾向があったとしても、裁判で真実を言うかどうかは自分で決められる。遺伝的・文化的に恥ずかしがり屋だとしても、知らない人と友達になる場合の危険性は自分で判断できる。受け継いだ傾向や条件を超えて、自ら判断できるのだ。


世界一速い走者になれるかどうかは自分の判断だけでは決められないが、以前より速く走るという選択はできる。


不思議なことに、こうした個人の自由な選択という側面が、他人の記憶に残るあなたの思い出なのだ。

生まれや背景といった大きな鳥かごの中で、多くの現実の選択をいかにするかが、われわれ自身が誰であるかを決めている。それこそがわれわれが死んだ後も他人が語る物語だ。」

(「テクニウム 〜 テクノロジーはどこに向かうのか? 〜」 ケヴィン・ケリー)

 

本 日も読んでいただきありがとうございます。

Fuglen  Bifu Gudina Co-op, Ethiopia

を飲みながら。