創業時にもっていたものを。
「創業者が会社を立ち上げた時のことを想像してみましょう。
創業者は自らの製品やサービスを心から愛し、これを日々より良いものに高め、競争相手を打ち負かし、顧客に選ばれることだけを考えていたでしょう。」
「企業価値4倍のマネジメント ~結果にこだわるコンサルタントの定石」
火浦俊彦+ベイン・アンド・カンパニー
大きな会社も昔は、ベンチャーだった。
戦後をつくってきた日本企業の創業者の多くは、非常にピュアな心をもち、誰にも負けない情熱と起業家精神で、「イノベーション」を起こしてきた。
しかしながら、会社が大きくなると、社内の創業者マインドは希薄化し、官僚化が強くなってくるのが常である。
以前であれば、ハチマキ姿の社長が木製のみかん箱の上で社員を激励したり、指示したりする光景が日常的であったものの、数十年経過すると、そうしたシーンはほとんど見られなくなる。
官僚化が進行すると、個々の社員は自らの業務領域をなるべく狭く定義し、その範囲が自分の責任範囲だからということで、けっして「越境」することはない。
そうした際は、創業時の創業精神に立ち戻る装置やきっかけが必要になる。
日本の自動車メーカーの広告で、創業時の企業マインドを呼び覚ますようなものを目にすることがあるが、これらは立ち戻る装置やきっかけとして企画されたものだろう。
立ち戻る場所をもっていることは、大きな強みになる。
1946年5月7日のソニーの設立式での挨拶で、共同創業者の盛田はこう述べている。
「大きな会社と同じことをやったのでは、我々はかなわない。
しかし、技術の隙間はいくらでもある。我々は大会社ではできないことをやり、技術の力でもって祖国復興に役立てよう。」
この挨拶には、「既存の大企業と既存マーケットで真正面から闘うのではなく、新しい技術を使って新しい顧客をターゲットにしよう」すなわち、「破壊的イノベーターになろう!」というソニーのビジョンが込められている。
ソニーはトランジスタという新しい技術を使って、「据え置き型ラジオ」という既存メーカーがひしめく市場ではなく、「外や自室で好きなラジオ番組を聴きたい」という潜在ニーズに向けた「持ち歩き可能なラジオ」というブルー・オーシャンに向ったのだ。
(「日本のイノベーションのジレンマ 破壊的イノベーターになるための7つのステップ」 玉田俊平太)
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GUDINA Co-op Ethiopiaを飲みながら。