町野公彦のマーケティング・ブリコラージュ

次の時代に手渡したいビジネス名言

目的の力。

大昔の石切工の話というものがある。

3人の石切工がいて、そこに旅人がやってきて、「あなたは何のために石を切っているのですか」と尋ねた。

 

1人の石切工は、お金をもらうためだと答え、2人目は腕の立つ職人になりたいからだと答えた。

これに対して、3人目の石切工は、これから沢山の人々が訪れてくれる教会を作るためだと答えたという。

 

同じ仕事をし、全く同じ質問をしても、異なる回答が返ってくる。

つまり、仕事における「目的」の捉え方の差異が回答に表出しているのだ。

3人目には、「誰の、何のために」という他者の視点が含まれており、こうした姿勢は周囲にもプラスの影響を与える。

 

働くこと、そして生きることにおいても、「目的の力」はとてつもなく大きい。

 

人生に決められた目的はない、と私は思う。

しかし、目的のない人生はさびしい。さびしいだけでなく、むなしい。

むなしい人生は、なにか大きな困難にぶつかったときに、つづかない。

人生の目的は「自分の人生の目的」をさがすことである。

自分ひとりの目的、世界中の誰ともちがう自分だけの「生きる意味」を見出すことである。変な言いかただが、「自分の人生を見つけるのが、自分の人生の目的である」と言ってもいい。私はそう思う。


そのためには、生きなければならない。生きつづけてこそ、目的も明らかになるのである。「われあり ゆえにわれ求む」というのが私の立場だ。


そして、その目的は、私たちが生きているあいだには、なかなか見つからないのかもしれない。確実に見つかるのは目的ではなく「目標」である。
だが目標は達成すれば終わる。そのあとには、自分は達成した、という満足感が残るだけだ。そして、その満足感も、時間とともに薄れてゆく。そしてやがて単なる記憶に変色してしまう。
しかし、目的は色あせることはない。失われることもない。そこがちがう。
人生の目的とは、おそらく最後まで見出すことのできないものなのだろう。

それがいやだと思うなら、もうひとつ、「自分でつくる」という道もある。自分だけの人生の目的をつくりだす。それは、ひとつの物語をつくることだ。自分で物語をつくり、それを信じて生きる。

しかし、これはなかなかむずかしいことである。そこで自分でつくった物語ではなく、共感できる人びとがつくった物語を「信じる」という道もある。

(「人生の目的」 五木寛之

 

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