町野公彦のマーケティング・ブリコラージュ

次の時代に手渡したいビジネス名言

望ましいお金の順番。

「広告は、商品のなかに練りこまれていく。

そういう進化になるから、これまでの広告技術よりも、もっとずうっとユーザーに近い視点が必要になる」

出さなかった『最後の広告論』より

(「ふたつめのボールのようなことば。」 糸井重里

 

冷静に考えて、もし自分が経営者(とくに中小企業の経営者)だったとしたら、

まずはじめに広告費を使って、広告を投入しようと思うだろうか?

 

それよりも、自社の顧客は誰かとか、自社の商品が顧客ニーズにフィットしているかを確認したり、価値と価格の関係、あるいは、買っていただくための環境整備、とりわけ、自社サイトが顧客の問題を解決するものになっているかどうか、さらに、パッケージは商品の意思を反映したものになっているか・・・・・・等に、はじめはお金(予算)を使うのではないだろうか。

 

つまり、建物で言えば、「基礎部分(土台)」をつくるのに予算をかけるのだ。

 

しかしながら、広告を提案する者は、そのあたりのことをいつの間にか忘れてしまい、本当に大切なことをいったんどこかにおいてしまう。

土台がしっかりしていないのに、広告という投薬だけを続けても「全体最適」につながらないケースが実に多い。

(広告でサイトにアクセスした人が増えたとしても、サイトがいい加減なものであれば、逆効果である。大事なことをいったんおいてしまうのは、広告会社のお金のいただき方に起因することが多い。)

 

スターバックスは、当初いっさい広告を使わず、創始者のストーリー、ビジョン等を商品や店舗、紙コップの中に焼きこんでおり、それがある意味広告として機能した。

(資料: 「Baked In :Products and Business That Market Themseives 焼きこむ:

それ自体がマーケティングする商品とビジネスを創造する アレックス・ボガスキー&ジョン・ウィンザー」 楓セビル AD STUDIES Vol.31 2010)

 

次の世紀に生き残る商品になるためには、商品そのものの中に、メッセージやストーリーを内在化させたものでなければならない。

さらに、限られた予算であるならば、まずはそうした「商品になる」ための費用を用意するのが、ものの順番である。

広告会社の人間も、そうしたことを提案し、適正なフィーをいただけるような関係が最も良い関係であるとあらためて思う。

 

SARUTAHIKO COFFEE Kenya Ndiaraを飲みながら。

本日も読んでいただきありがとうございます。