町野公彦のマーケティング・ブリコラージュ

次の時代に手渡したいビジネス名言

問題が分かっていないという問題。

「おれの仕事はいろいろな会社のシステムソリューションを考えることなんだけどね。ソリューションというのは、解決すべき問題が何なのかを把握していないとわかるわけがない。ほとんどの日本の経営者は勘違いしていて、高いコンサルティングフィーを払っているのだから、生産性を上げるソリューションをとにかく示してくれっていう人が多いんだよ。お聞きしますがあなたは何が問題だと思っているのですか。そう聞くと怒りだす人もいる。それを考えるのがお前の仕事だろうって怒りだすんだけど、要は何が問題だかわかっていないから、怒ってごまかすだけなんだよね。原因がわかっていないと、ものごとは絶対に解決できないんだ。」

(「空港にて」村上龍から引用)

 

恥ずかしい話、広告会社においても「問題定義」や「問題の本質=真の問題」を考えることなしに解決策の開発にとりかかってしまう例が後をたたない。

また、問題を診ることなしに解決策を考えてしまうのと同様に、表層的で解決できない単なる現象を問題と定義してしまう企画書や調査報告書の類は多い。

 

「例えば、冬が近づいているのに、暖かい服を持っていないとします。自然の摂理を変えることはできないのだから、問題は冬ではなく、適切な衣服を持っていないことです。セーターや厚手の上着を作ったり買ったりすれば風邪をひきません。つまり、現状を説明するだけでは問題定義になりません。関係する人や組織の行動パターンを含む因果モデルも必要です。問題を感じた人がそれを何とかしたい考え、何とかできる状況のみが問題なのです。だから現状よりも望ましい状況(冬を暖かく過ごすこと)を描くことが必要です。」

(「デザイン思考の教科書 欧州トップスクールが教えるイノベーションの技術」アネミック・ファン・ブイエン他 から引用)

 

上記のたとえで言えば、「問題は冬です」と解決不可能なことを企画書に書いてしまうのだ。

僕自身、「問題」と「課題」を切り分けて考えているが、「問題と課題」の話はまた別の機会に書こうと思う。

 

とにかく「原因がわかっていないと、ものごとは絶対に解決できないんだ。」

(「空港にて」村上龍から引用)

 

GLITCH COFFEE & ROASTERSのCOLOMBIA RODRIGO SANCHEZのコーヒーを飲みながら。

ここまで読んでいただきありがとうございます。