町野公彦のマーケティング・ブリコラージュ

次の時代に手渡したいビジネス名言

失われた多様性を求めて

「僕にはわからないのは、企業というものは、営利を目的とするのか、公益面に奉仕するだけのものなのか、その辺のケジメが全然ついていないということである。

本当は儲けたいというか、自己保身から一歩も出ていないのに、表だけは無理にとりつくろう。

 

どうして、自己保身なら自己保身で、それをはっきりと打ち出す勇気がないのだろうか。昔のように愛国者気取りで、業界のためなんていわないで、どうして自分の繁栄のためにといわないのだろうか。業界のために、自分が犠牲になるつもりで、物をつくったり、会社を経営したりしているのではないはずだ。それをはっきり言えないような勇気のない人は嫌いだ。

だからうちの連中に、会社のために働くな、自分の生活をエンジョイするために働きにこい、それで一生懸命やることで会社ともどもいいといっている。

やはり人間は自己保身より一歩も出ていない。戦前の滅私奉公は嫌いだ。」 

「会社のために働くな」  本田宗一郎・著

 

 

入社希望の大学生を相手に就職面接をやらせていただくことがある。

今の多くの学生は皆同じように、面接時に、「ソーシャル」、「CSR」、「フェアトレード」、「サスティナブル」・・・・・・etc、というカタカナを多用しながら、自分がいかに社会的な事象に関与しているか、また、学生時代にどんなにがんばったかを非常に流暢に述べていく。(勿論、全ての学生にあてはまることではないが。)

 

現実のビジネスは、ただひとつの解が存在するものではない。

ましてや、新しいアイデアの創出(あえてイノベーションというカタカナを避けた)が問われる中、「意見の多様性」は重要である。

 

しかしながら、この国では、こうした就職活動においても、「会社という共同体が好ましいと考えるであろう、ただひとつの解」に収斂されていくようだ。

 

これは、大学生の問題ではなく、日本の問題でもある。

 

今日も読んでいただき、ありがとうございます。

VERVE COFFEE ROASTERS ETHIOPIA LAYO TERAGAを飲みながら。